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フィナンシャル・エージェンシーの働き方改革事例

デジタル技術の活用・女性活躍に関する取組を通じ、人材確保・離職防止を実現!

投稿日:2019-02-25  最終更新日:2019-02-25  取材日:2019-01-29

株式会社フィナンシャル・エージェンシーが取り組んだ事

  • 営業手法をデジタル化、誰でも一定レベルの商品提案が可能に
  • シニア層+高卒採用にシフトチェンジで人材確保に活路
  • ママでも勤続し昇格できる制度策定で離職を防ぐ
  • 会社規模

    1,200人

  • 業種

    保険業

  • 対象職種

    全社員

今回お話を伺うのは、保険代理店業界のデジタル先駆者、株式会社フィナンシャル・エージェンシー。デジタル技術の活用によって営業マンをサポートし、更に働き方改革と採用手法の工夫によって離職防止と人材確保に取り組み、成果をあげています。

お話を伺った業務本部 近藤悠里 マネージャー(左)とマーケティング本部 内藤美奈子 マネージャー(右)

デジタルマーケティングで営業力をボトムアップ

御社の業務内容から教えていただけますか?

当社は保険の代理店業としてスタートし、今年で創業11年目になります。元々は保険営業のコールセンター事業が土台でしたが固定電話の契約世帯が減りつづける中、ICT技術を駆使したシステムやサービスを他社に先駆けて取り入れています。
デジタルマーケティングといって、顧客発掘から契約、その後のフォローに至るまで全部デジタル化しているんです。
代表的なのが「保デジプロ」というアプリで、どの営業マンでもお客様へのヒアリング内容に基づいて、必要保障内容を算出し、多数商品の中から顧客に最適な保険商品を自動的に選択・推奨してくれる保険コンサルティングAIシステムです。

画像(左)は同社HPより。あらゆる工程にデジタル技術を導入し「保険業界をデジタル化するInsurTechNo.1 カンパニー」を標榜している。画像(右)は保デジプロの画面イメージ。

「保デジプロ」というシステムを使えば、経験の少ない営業マンでも一定レベルの提案ができるわけですね。

そうです。これによって何が可能になったかというと、幅広い年代の従業員を採用できるようになったんです。
最近はシニア層の採用も積極的にやっていて、社員の平均年齢が28歳なのに対して、アルバイトの平均年齢は54歳です。

平均年齢54歳 シニア層の積極採用

シニア層の方もたくさん働いていらっしゃるんですね。

元々、年齢制限がなかったので創業当時からシニア層のアルバイトもいたのですが、2017年5月からは積極的に採用を
始めました。今では、アルバイト600人のうちシニア(※60歳以上)が約45%を占めています。最高齢は77歳で、私の同期生なんですよ。

アルバイトの実に半数弱がシニア層なんですね。なぜ積極的に採用するようになったのですか?

それまでアルバイトは事業拡大のスポット採用だけだったのですが、大幅な人員増が必要になった時期があって、
「さあ、どうしよう」と。どの会社も同じだと思いますが、採用市場には若手が少ないんです。
そんな時にシニア層に目を向けると、シニア層は応募から入社に至る確率も入社後の継続率も、若年層の倍以上高いんです。
面接のアポを入れてもシニア層は8割がた来社してくれますが、若年層は10人に2人来ればいい方ですから…。

人材不足が深刻な現代、「年の功」を活かした戦略的なシニア雇用は「年功助力」とも呼ばれ、リクルートホールディングスが発表した「2018年トレンド予測」にも挙げられた。

それはシニア採用の方にシフトチェンジするのも納得です。採用コストも変わってくるのでは?

はい。シニア層を積極採用する前は、平均採用単価が一人当たり約25万円だったのが、今は約7万円/人まで下がっています

かなりのコストダウンですね。ただ、デジタルツールのおかげである程度みんなが同じスキルで営業できるとしても、ジェネレーションギャップなど弊害はありませんか?

特にありませんし、逆に相乗効果が出ている位です。
よく聞かれるんです、「シニア従業員に何かアドバイスしても、聞いてくれないんじゃないの?」なんて。
全くそんなことありません。当社は20代半ばのチームリーダーも珍しくありませんが「孫(世代)がそこまで言うなら、頑張るよ!」とむしろ温かい目で聞き入れてくれるのは、良い意味で想定外でしたね。もちろん、採用段階で柔軟に受け入れてくれる方を選んでいる、というのもありますが。10人1チーム制の内訳は、社員とバイトが半々の割合で、シニアからすると孫世代が社員として頑張っている感覚なんだと思います。

それは意外でした。

自分達が団塊の世代としてがむしゃらに働く時代を終えて、シフトを緩めて責任が少ない状態で働けるのも、素直に仕事に向き合える一つの理由かもしれません。
保険の営業電話って、お客様の拒否反応から始まるので心が折れてしまう新卒社員が多いんです。でも、社会人経験豊富なシニア従業員の「断られるのが当たり前」というスタンスは、彼らのメンタル的な支えにもなってくれています。
ITスキルの高い若年層と、トークスキルの高いシニア層とお互いにうまく埋め合う環境ができていると思います。

幅広い年代がチームにいるからこそ、良い効果が生まれているんですね。

コールセンターは着席して電話する仕事、つまり肉体労働ではないので年齢による有利/不利はありません。
でも、シニアの方の話すテンポやスキル、相槌の優しさなど、勉強になる事はやはり多いです。

御社のメインターゲット層と年代が近いでしょうから電話の会話も弾みそうですね。

そうなんです。お客様と同じ世代なので、保険に関する悩みを共有できたり、病名に詳しかったりするんですよね。
自分の入社当時からシニアの方がいる状態が普通だったので、特別な事として捉えていないんですよ。
こういう取材を受けるようになって、「あ、珍しいんだな」と認識し始めたくらいです。

高卒採用市場を開拓 ブルー・オーシャンを求めて

シニア採用を強化する一方で、高卒採用にも注力されているそうですね。

大卒採用マーケットは売り手市場で厳しくなっていますが、金融業界の高卒採用は多くありません。ならば開拓できるのでは?と思って始めてみたんです。今年度から採用枠を増やして高卒採用を本気で開拓する方向にシフトチェンジしました。
当社は最終学歴に関係なく基本給が同じですから、10代でもがんばれば20代より稼げるチャンスもあります。

実際に採用してみて、高卒と大卒とで違いを感じることはありますか?

良い意味で変わりません。大学生だと大学を卒業した流れで就職するのが一般的なのに対して、高卒で働く選択をするのは気合いを入れないとできない事だと思うんです。だから、高卒の方がもしかしたら就業意欲が高いのでは、と感じることもあります。

大学進学率が高い今だからこそ、余計に「働く」という選択をするのはすごい事かもしれませんよね。

実際、高校の就職担当者と話していても感じますが、少数なのに働く選択をするってすごいですよ。
でも、製造やアパレルに人気が集中して、金融業界はハードルが高いのか志望者数がまだ少ないのが現状です。
難しそうな業界イメージを払拭するために、高校に出向いて説明をしています。

ワーキングママをバックアップしたい

女性活躍に関する取り組みについて教えてください。

今は男性と女性の従業員割合は6:4で男性の方が少し多いです。
くるみん取得の動きは世の中の風潮もありますが、2008年に入社した一期生達の中から結婚・出産を迎える社員が増えてきたものの、「そういえば、うちの会社、ワーキングママをバックアップしてくれる制度がないな…」と危機感をおぼえるようになったからです。そこで、「必要な制度は自分たちで作る」という趣旨で委員会を設置したのが2014年でした。

実際にどんな制度が生まれたんですか?

一つ目は、有給以外に10日間/年の特別休暇を出すようにしました。
二つ目は昇格基準の再設定です。
これまでは通常勤務社員も時短社員も基準が同じでしたが、時短社員でも昇格できるよう、働く時間が75%なので昇格基準も同じ75%に設定しなおして、平等に頑張れる環境にしました。

休暇、時短は良く聞きますが、昇格できるまでは珍しいですね。すんなりいきましたか?

結構ポンポンとできましたね。年齢や入社歴に関係なく誰でもがんばれば昇格できる環境は、創業当初からブレないで続けてきた所ですから、「ならばママも例外ではないよね」と。ただ、ママですから時間制約があるのは仕方ないので昇格基準の再設定を決めました。

育休明けの復職率をUPさせるために

特別なことではなく、創業当時からの理念に沿って生まれた制度なんですね。他に女性に対する取り組みは何かありますか?

これと同時期にできたのが「マリッジ制度」といって、従業員同士の結婚を奨励する制度です。私も最初は、必要か? と半信半疑でしたが、メリットは大きいです。長く働くためには家族の理解が不可欠ですが、同じ職場なら大変さや事情がお互いによく分かりますし、離職を防ぐ効果もあると期待しています。
具体的には、従業員同士の結婚一時金として10万円、出産、進学時にそれぞれ5万円を支給します。

ユニークな制度ですね。利用する人は多いですか?

申請が毎月のようにありますから、利用者は多いです。人事としても、この給付申請をきっかけに社員の状況が分かってフォローアップしやすくなるメリットがあります。社長も押せ押せムード(笑)で、応援してくれています。
一方で、これからママになる人達に向けての取り組みとして「ウーマン・イノベーション・ミーティング」を定期開催するようになりました。

「ウーマン・イノベーション・ミーティング」とは?

ママ社員が登壇して、仕事や育児の情報交換をしたり、社内制度の話し合いをしたりする会です。この会を通じて「これなら育児しながらでも働けそう」とイメージを持って、復職してくれる女性社員が増えてほしいと思っています。
長い育休を経ていきなり復帰するのはハードルが高いですから、育休中の社員には「パパママ会」に参加してもらってコミュニティが途切れないようにケアしています

パパママ会の様子

ママだけでなくパパも参加するんですね。男性社員の理解や協力はどうですか?

イクボス同盟や育メン制度にも加盟して、啓発を進めています。
出産時の特別休暇取得率は男性社員も98%ですから高い方だと思います。パパママ会の好影響や、部長職のパパ比率も高くなってきて、「上司が取ってるから自分達も取得するのが当たり前」という良い雰囲気になっていますね。

妊娠~復帰までの情報を網羅した独自の「出産・育児休業ガイド」や「保育園ハンドブック」もパパママ会から生まれた。

会社側からそういう取り組みをしてくれるのは心強いです。育休中の社員向けの在宅勤務を今月から始めるとお聞きしました。

はい。今、7人くらいが育休を取っていますが、その中の1~2人に資料作成業務をトライアルでやってもらう予定です。
育休中でも仕事に携わることで復職のハードルを下げるのが狙いです。
それに育休中も在宅勤務で繋がっていれば定期的に連絡も取りますから、そこで不安や心配の芽を摘み取ることができるかな、と。

オフィスのハード面で何か変えた所はありますか?

3年前から始めたES調査で、コールセンターチームから休憩スペースを要望する意見が多かったので、研修室だった部屋をカフェスペースに変えました。
バックオフィス部門でいうと、社内の風通しを良くしてちょっとした相談事や打ち合わせができるように、テーブルセットを色々な所に置いたり、小ミーティングルームを作ったり。あとは、思いついたことをすぐにホワイトボードに書けるような環境だったりは、移転当時からあります。

今回の育休社員の在宅勤務トライアルもうまくここに繋げられるとよいですね。

退職して子育てがひと段落してから今より良い条件で就職しようと思っても大変です。
復職しやすい環境を作ってフォローアップするので、当社で長く働き続けてほしいと思っています。

執務室の隣に設けられたミーティングスペース

二足のわらじを会社が応援 アスリート制度

他に特徴的な取り組みはありますか?

アスリート制度というものがあります。
当社では「夢を現実に変える会社」をスローガンのひとつに掲げていて、会社としてもバックアップする事を約束しています。
社会人になると学生時代から続けていたスポーツや趣味を諦めてしまう人が多いですよね。でも、両輪で活躍してくれれば、本業の仕事の方にも良い効果があるんじゃないか、と思うんです。

アスリート制度第一号として、3人制バスケットボール3×3のプロリーグで活躍する今泉氏。18時には退社して競技の練習に励む。

社員ひとりひとりの要望に、ここまで対応してくれる会社はなかなかないですよね。

逆に、意見を貰えないと分からないっていうのもあるんですけど。言ってくれればしっかり考える、と約束しています。
一通りの制度は揃っていると思いますが、個人にマッチする制度はそれぞれ違いますから
今も、アンケートやヒアリングをして改善や策定を続けています。

順調に改革が進んでいるように見えますが、失敗した取り組みなどはありますか?

週に一度、ラフな私服で出社する「カジュアルデイ」をやった時期がありました。でも、結局打ち合わせ等があればジャケットを着ないといけなかったりして、何となく消滅しました。でも、それ位ですかね。私たちの仕事は、制度策定して終わりではなく定着させるまでやるのが使命だと思っています。

イベント休暇で社員間交流が活発に

厚労省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」で、御社のイベント休暇が取り上げられていました。

祝日のない6月に社員のやる気を奮起させるため、「FAの日」として休日を制定しました。以前は、単に休みたい人が休むだけの日でしたが、最近は「チームで遊びに行こう」とか「新入社員と責任者達でBBQしよう」など従業員同士の交流の日になっています。
現場のチーム長から「こういうマネジメントがしたいから、このタイミングでFAの日をやらせて」など自発的に意見が出るようにまでなりました。

6月というと、特に新入社員はしんどくなりがちなタイミングなので良いかもしれませんね。

入社当初は研修で毎日会っていたのに、配属後はバラバラになってしまいますからね。自分達で会を設定するのはパワーがいりますが、こういうイベントがあると新卒同士が久々に会って話す場にもなりますので現場からも好評です。
イントラネットの社内広報で、営業部のイベント紹介をアップすると、他の部長陣も「うちの部署も載せて!」と競うように写真や情報を寄せてくれます。

「FAの日」に新入生を交えてのBBQの様子

イントラネットを使って共有する文化があるんですか?

当社の場合、他のチームの事を知れる唯一のツールが、メールとイントラネットなんです。なぜかというとコールセンターは個人情報保護の関係で他のチームの部屋に出入りできないので、他部署のことが分からないんです。イントラネットは人事にとってはブランディング、現場にとってはチームのアピールの場なので、頑張って記事をアップしています。

女性が長く働き続けられる会社を目指して

最後に、今後の課題や取り組みについてお聞かせください。

女性責任者のロールモデルを増やしたいです。
金融業界では女性責任者比率9%に対して、当社は18%なので高い方ですがまだまだです。
その為には、「責任者になりたい」と女性社員に思ってもらわないとどうにもならないので、ロールモデルを立ててどうキャリア形成したか、一般社員に伝える機会を増やさないといけないと思います。

最近では「結婚・出産したら専業主婦になりたい」という若者も増えています。

でも実際には、結局働くんですよね。経済的に働かざるを得ないケースだって多い、
そこを認識させられるようなテーマを模索して普及する取り組みもやりたいです。

今回の育休社員の在宅勤務トライアルもうまくここに繋げられるとよいですね。

退職して子育てがひと段落してから今より良い条件で就職しようと思っても大変です。
復職しやすい環境を作ってフォローアップするので、当社で長く働き続けてほしいと思っています。

今回協力して下さった企業様

株式会社フィナンシャル・エージェンシー

設立
2007年3月2日
本社所在地
東京都渋谷区恵比寿1-19-19 恵比寿ビジネスタワー
事業内容
各種保険代理店事業等
従業員数
1,239名(連結グループ、2019年2月現在)
Webサイト
https://www.financial-agency.com/

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