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イトーキの働き方改革事例(前編)

全社員の危機感の共有からはじまった構造改革プロジェクト

投稿日:2019-03-22  最終更新日:2019-03-22  取材日:2019-02-01

株式会社イトーキが取り組んだ事

  • オフィス環境に対する満足度調査
  • 部門を交えた現場主体の進行
  • 新たなワークスタイルの周知
  • 会社規模

    1,900人

  • 業種

    製造業

  • 対象職種

    全社員

オフィス家具の提供と最適なオフィス環境を提案する株式会社イトーキが、2018年10月にまったく新しい働き方「XORK Style(ゾーク・スタイル)」を始動させました。
働き方の刷新にあたって取り組んだのが、都内に4拠点あった事業所を最先端ビルに集約することと、働き方改革の実現。実はイトーキでは、「働き方改革」を「働き方変革」と呼んでいます。今の延長線上で今あるものを部分的に改善するのではなく、もっと根本的に働き方を変えるべきという考え方からです。
さっそく新オフィス「ITOKI TOKYO XORK」でお話を伺ってきました。

今回お話を伺った、営業戦略統括部 営業企画部 マーケティング戦略室 室長兼本社移転プロジェクトリーダーの藤田浩彰様

めざすは“3領域”の抜本的な変革

オフィス家具メーカーである御社が働き方変革に取り組まれたきっかけは?

弊社で現在取り組んでいる中期経営計画の策定に向けた議論がスタートしたのが2017年なんですが、非常にチャレンジングな成長戦略であったため、今の生産性のままで本当に達成できるのか?という議論が営業部門を中心にボトムアップ型で何度も交わされました。結果「働き方の変革に踏み切るべきだ」という結論に至り、本格的な基本構想や実施計画の策定に着手していきました。

プロジェクトはどういった形で進んでいったのでしょうか。

まず、大きく3つの領域を新しくすることを目標に掲げました。1つめは「仕事の仕方」。今のビジネスモデルや業務プロセスそのものを、組織の構造改革も含めて抜本的に変革しようというものです。2つめは「空間と環境」。主にオフィスとICT、ITを最先端のスタンダードに変える施策です。3つめは「働き方のルール」。具体的にはテレワークを推奨したり、決裁や承認業務などを見直したり、というものです。
2つめの「空間と環境」については、従来の古いファシリティで実現できるのか否かという議論が生じました。結果、もともと分散していた4拠点を集約する形で最先端のビルに移転することになったんです。

働き方変革を2017年にスタートしてから3年目になりますが、短期間で仕上げていらっしゃる印象です。どのような体制で取り組まれたんですか?

「働き方変革プロジェクト」をつくり、それぞれが自分たちの業務を革新するための取り組みや目標設定にあたりました。移転やオフィスの環境構築に関しては、「移転プロジェクト」を立ち上げました。メンバーにはITの商材を扱っている者、家具をつくっている者、ワークスタイルのコンサルティングをしている者など、いろいろなプロフェッショナルがいて、「このプロジェクトのクライアントは自分たち」というコンセプトをもって取り組みました。

不満だらけのオフィスから、個人が納得して働けるオフィスへ

移転プロジェクトでは、具体的にどういった課題に着目したのでしょうか。

今のファシリティにみんながどう感じているかを把握するため、まず移転する社員約800人を対象に意識調査を行いました。しかし、結果は惨憺たるものでした。
「仕事の生産性にオフィスが寄与していないと感じる」、「自分のデスクでは集中して仕事ができない」、「オフィス内での場所の選択肢に不満がある」など、オフィスに対する満足度が非常に低かったんです。イトーキはオフィス空間の提案を生業としていますので、世の中のスタンダードでいえばそれなりのオフィス環境であると自負していました。ところがこうした結果が出ているということは、社員の持っているニーズがどんどん変わってきているのかな、と。ひとりひとりが最大限にパフォーマンスを発揮できる環境とは何だろうと改めて考えさせられました。

「オフィス内での場所の選択肢に不満がある」との声が多くありますが、もともとはどのような形態だったんですか?

800人のうち、半分の400人はいわゆるフリーアドレスの形態です。残りの400人は固定席プラスいくつかの場所を選んで働けるような環境でした。ただオフィスのフロアも少し小さく、フロアを部門ごとに分割したようなオフィスで仕事をしていました。

そうすると、フリーアドレスといえども小さな拠点内の、さらには同じ部署内にしか場所の選択肢がなかったということですね。

そうです。あとは、空間の品質的にもあまりよくなくて、「空気質に対する満足度」、「温湿度に対する満足度」、「ノイズレベルに対する満足度」などが低く、悩ましい数字ばかりでしたね。

ここまで細かくアンケートを取ることはなかなか難しいと思います。すると社員のみなさんは、移転プロジェクト自体を我が事と感じた上でアンケートに答えられたんでしょうか。

そうですね、回答率も非常に高かったです。
今回の移転を機に、WELL認証(Well Building Standard。健康面や快適性によって、働く人に好影響をもたらすオフィスに与えられる認証)を取得したいと思っていたこともあり、オフィスの品質面でビフォーアフターが比較できるように、ビフォーのデータをきちんと取っておきたかったんです。

オフィスの満足度としてはかなり低く厳しい結果が出ていますが、こうした社員の声が反映されて、今の新しいオフィスにつながっていったわけですね。

はい。イトーキが今すべきことは、より個人が納得して働ける環境づくりです。これは決してオフィスそのものの話だけではありません。仕事に対する個々のワークエンゲージメントをしっかり高めることができ、社会的に生活の質を上げて、最終的には個人の幸せにつなげられるような環境ということです。個人が安定した状態になるからこそ、生産性と創造性が高まって新しい価値を生み出すことができ、結果的には企業の持続的な成長につながっていくと思っています。

開放的な空間に見えつつも、それぞれのスペースには個々が明確にワークイメージを持てる設計がなされている。

自己裁量を高め、企業の成長につなげる

新ビルへの移転とともに始動したイトーキの新しい働き方「XORK Style(ゾーク・スタイル)」。「XORK」の名称は社内デザイナーのアイデアを採用。

御社の働き方変革において重視したポイントはどこでしょうか。

イトーキが抱えていた大きな課題に、「圧倒的に営業の時間が足りない」というものがありました。ありがたいことにマーケットは活況で、お客様からはたくさんの問い合わせをいただいています。しかし、問い合わせにきちんと答えていくのが精一杯で、能動的に情報を発信する活動に時間を割きにくい状況でした。じゃあどうすれば価値提供のための時間をつくり出せるのかを考えたとき、行き着いたのが「自己裁量を高めること」でした。個人がワークイメージをしっかり固めながら納得して働くことができれば、企業の生産性と創造性は高まり、持続的な成長につながります。
イトーキでは、裁量を高め「フリー」を拡大していく新しい働き方のことを、「XORK Style(ゾーク・スタイル)」と名づけています。WORKのWをひとつ先のアルファベットXに変えることで「次の働き方」を意味するオリジナルの造語です。

ワークをさらに一歩進めたということですね。

はい。イトーキの取り組みたい新しい働き方の名前がXORK Styleで、XORK Styleを実践するオフィスの名前が「ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トーキョウ・ゾーク)」という関係性になっているんです。

この事例と同じシリーズの事例

今回協力して下さった企業様

株式会社イトーキ

設立
1950年
本社所在地
東京都中央区日本橋
事業内容
オフィス家具、事務機器、設備機器、空間設計
従業員数
1,964名(平成29年12月末現在)
Webサイト
https://www.itoki.jp/

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