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働き方改革の事例「 オフィス環境 」「 人事制度 」「 ICT投資・活用 」「 ワーカーの啓発・教育 」

富士通の働き方改革事例(前編)

働き方改革を駆動させる「3つの要素」と「3つのワークプレイス」

投稿日:2019-04-26  最終更新日:2019-04-08  取材日:2018-12-25

富士通株式会社が取り組んだ事

  • 「制度・ルール」「ICT・ファシリティ」「意識改革」の三位一体の取り組み
  • ワークスタイルの選択やデザインを、現場の自主性に委ねる
  • 会社規模(従業員数)

    155,000人

  • 業種

    製造業

  • 対象職種

    全社員

ICT分野において各種ソリューションサービスを提供する、総合エレクトロニクスメーカー・富士通株式会社。この日本を代表するグローバル企業は、政府が働き方改革を提唱する以前の2010年から在宅勤務制度を導入するなど、実は、改革の先駆者でもありました。

今回は、そんな富士通の歴史ある取り組みについて、お話を伺ってきました。

今回お話を伺った、総務部シニアマネージャーの福竹主水氏。

三位一体の取り組み、働き方改革を駆動させる3つの要素

さっそくですが、御社が取り組まれている働き方改革について教えていただけますか?

はい。当社は「働き方改革」を推進していくにあたって、大切にすべき3つの要素があると考えています。

まず、1つ目が制度・ルールです。
テレワークやフレックス、裁量労働制などを含めた、働き方に関わる様々なルール整備ですね。外で働く際のセキュリティルールなども、ここに含まれます。

2つ目は、意識改革
制度やルールなどをいかに整えようとも、実際に利用していくのは一人ひとりの社員ですので、職場の意識改革にも力を注いでいます。eラーニング(※)を通じて学びの場を提供したり、制度の有効な活用法へのレクチャー、ワークショップなども開催してきました。管理職(ミドルマネージャー)クラスに対しては、「働き方改革」を重点テーマの一つとして位置づけ、職場マネジメント研修を行っています

eラーニング(e-Learning、イーラーニング)とは:情報技術、主にインターネットを利用して行われる学習のこと。従来型の集団研修にはないメリットとして、指導者と同じ時間・空間を共有する必要がなく自由なタイミング・場所で学習できること、個人の習熟度に応じて学習のペースを決定できること、印刷教材が削減できること、などがあげられる。

そして、3つ目が、ICT・ファシリティへの取り組みです。
これは、ICT環境や、サテライトオフィスなどのファシリティに対するアプローチですね。グローバルコミュニケーション基盤(※)を使えば、テレワーク環境下にあっても、今や全世界へと容易につながっていくことができます。モバイルツールとしては、軽くてデータ漏えいのリスクもないシンクライアント(※)PCを採用し、順次、従業員に配布しているところです。以前ですと、お客様のところへ伺って、仕事終わりに「軽く一杯行こうか」などという流れになっても、ノートパソコンの中には情報資産がびっちりと入っているので無理だったんですね。でも、シンクラPCであれば、仮想デスクトップを利用することになりますので、たとえ紛失したとしても、それ自体は“ただの箱”ですので、情報資産は損なわずに済みます。なので、安心して、色々な場所で、もっと時間をかけて、お客様とじっくりコミュニケーションを重ねていくことができるんです


グローバルコミュニケーション基盤とは:メール、ポータルサイト、文書管理、Web会議、通話、SNS、ビデオなどのグローバルで共通化した社内コミュニケーション基盤システム。

シンクライアントとは:シンクライアントは仮想デスクトップを利用するための専用端末のこと。サーバー側で大部分の処理を行うことで、ユーザーが使用する端末(クライアント端末)の機能を必要最小限にとどめる仕組み。クライアント端末はサーバーの処理結果を表示するだけで、端末内にデータは一切保持しない。テレワークという働き方が増えていく中、社外に端末を持ち出すリスク(情報漏洩など)を軽減するひとつの手段として、多くの企業から注目されている。

当社では、これらの3つの要素が三位一体となった働き方改革に取り組み、2017年4月から、場所に捉われないフレキシブルな働き方を可能にする「テレワーク勤務制度」を正式に導入しました

なるほど。御社は、総務省から「テレワーク先駆者百選」に選定されたり、日本テレワーク協会から「第18回テレワーク推進賞・テレワーク実践部門」優秀賞を授与されたりと、テレワークへの取り組みが大きく評価されていますよね。それも、これら3要素への丁寧なアプローチがあってこそなんですね。

いえいえ、試行錯誤しながらでして…、まだまだです。

働き方のひとつの選択肢、テレワーク

それでは次に、2017年に正式導入されたというテレワークについて、お話を伺えますか?

はい。テレワーク勤務制度に関しては、テレワーク全社活用率(週1回以上テレワークを実施)は、当初5%でしたが、三位一体での取り組みにより現在では40%まで上がっています。テレワークの活用とは、在宅勤務・サテライト勤務・モバイルワークの3つを指しています。テレワークを経験した人の多くは、「時間が有効に活用できた」とか「ワーク・ライフ・バランスが向上しました」などと感想を寄せてくれており、一定の手応えは感じています。

当社には、営業、SE、開発、コーポレート系と、4種類の部門があり、特に、SEや開発部門については、本当に特殊なスペックのマシンを使っています。ですので、部門によって必要なツールや環境が異なってくるというのは大前提のもと、業務の特性やお客様事情を踏まえテレワーク勤務制度の導入は各部署の判断に任せています

さらに、テレワークを社内に浸透させようと、「テレワーク・デイズ(※)」にも参加しました。期間中(2018年7月23日〜27日)の利用者目標は10,000人としていたのですが、実績は14,000人を超えました。でも、まだまだですね。

テレワーク・デイズとは:総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府が、東京都および経済団体と連携して実施する、テレワーク推進のための国民運動。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催期間中における、首都圏の交通混雑緩和を目的とする。

いえいえ! 御社の場合は万人単位ですから(笑)。影響のインパクトが違いますね。

ちなみに、「制度・ルール」関係の話で言いますと、フレックス勤務者のコアタイムの運用の変更も行いました。

どのように変更したんですか?

お客様事情や業務繁忙にあわせ、職場単位で柔軟にコアタイムを設定出来るようにしました。

現場側で選べるというのは、とてもいいですよね。

自律的に働こう」というのが大きな目標ですので、今では「自分たちの職場に一番合っていて、自分たちが一番効率よく動ける働き方を、自分たちで考えて設定してください」と、現場の自主性に委ねるケースが増えてきていますね。

それがうまく機能しているんですね?

そうですね。とはいえ、自主性と一口に言っても、背中を押さなくてはいけないシーンもありますので。社員に対する研修やマネジメント層へのアプローチも、継続的に行っています。

3つのワークプレイスを定義

2017年のテレワーク導入以前に、ワークプレイスの変革について、何か取り組んでいたことはありますか?

テレワーク導入のずっと前、2010年くらいから、在宅勤務制度はすでにあったんです。でも、当時、在宅勤務というと、「短時間勤務者や育児や介護事情のある人が対象なんでしょ」とか「フルタイムで働いている一般社員は関係ないよね」とか、そんな意識が支配的でした。

なるほど。その当時は、確かにそうかもしれませんね。

でも、これからは「自宅だけでなく、どこで働いても、誰がテレワークしてもいいんですよ」ということを、もっとちゃんと伝えていきたい。そのためにも、私たちは「働く場所の選択肢」を増やしていきたいと考えています。そこで、まずは「働く場所」とは何であるかを整理するために、ワークプレイスを3つに定義しました

テレワーク制度の浸透に伴って、富士通はワークプレイスを3つに定義。サテライトオフィスの活用も重点事項に据えられています。

まず、第1のワークスペースは、従来型のオフィスにおける「事務所(自席)」です。そして、第2のワークスペースは、在宅勤務の場としての「自宅」。最後に、第3のワークスペースが、働く場所の新しい選択肢としての「サテライトオフィス」です。

そして「時間や場所を有効的に使う限りにおいては、この3つのワークプレイスの中でなら、どこで仕事しても良いですよ」としています。

今回協力して下さった企業様

富士通株式会社

設立
1935年
本社所在地
本社事務所:東京都港区東新橋(汐留シティセンター)
本店:神奈川県川崎市中原区
事業内容
・テクノロジーソリューション
・ユビキタスソリューション
・デバイスソリューション
従業員数
155,000名(グループ全体/2017年3月末現在)
Webサイト
http://www.fujitsu.com/jp/
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