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働き方改革の事例「 オフィス環境 」

ネットワンシステムズ株式会社の働き方改革事例

ICTツール×働き方×オフィス改革でコラボレーションが増加!

投稿日:2019-05-14  取材日:2019-01-10

ネットワンシステムズ株式会社が取り組んだ事

  • 社員の自立的な働き方を目指し人事制度・オフィス・ICT変革を実行
  • いつでもどこでも誰とでものワークスタイルを目指す
  • 変革実行後も様々な委員会活動を通じて横断的なテーマに取り組む
  • 会社規模(従業員数)

    2000人

  • 業種

    情報通信業

  • 対象職種

    全社員

システムインテグレータ大手のネットワンシステムズ株式会社では、近年、働き方改革に関するソリューションサービスの提供に注力しています。そのために、自社のオフィスを“Innovative Office(革新的なオフィス)”と位置付け、オープンコミュニケーションを重視したワークプレイス設計やICTを利活用した働き方改革などを積極的に取り入れ実践しています。

今回お話を伺った、経営企画本部 人事部 人事第1チーム エキスパート 青木宣悦様(左)と経営企画本部 情報システム部 サービス管理チーム シニアマネージャー 内田雅裕様(右)。

最新ICTを自社で実践し、ノウハウをお客様に提供

御社では働き方改革を社内で実験しながら、それらをソリューションサービスとして販売していらっしゃいます。ある意味、働き方改革のプロフェッショナルですね。

私は社内の改善や変革を軸に施策検討を進めてきましたが、おっしゃる通りソリューションとして製品開発・販売する部署もあるので、そこと連携しながら進めてきたという点では特徴的かもしれません。同じ社内であっても立場が違うと目的や進め方の調整は難しい面はあります。(内田)

難しいのはどういう部分でしょう。

ソリューション側は「こういうツールを使った変革モデルを生み出せないか?」という視点に対して、我々は社内の課題もしくはto beから入るので、いかにマッチングさせるかがポイントです。
具体的な方法をもたず要件を整理しても形になりませんし、具体的な手段から入ると実態とあわない場面もあるので、両方の視点から考えるようにしてきました。
例えば、無線LANやシンクライアント、統合化されたコミュニケーションツールについては、新しい働き方を描きつつ、社内で実験的な導入を繰り返して社内導入し、それをお客様にも展開する事例がいくつもありました。(内田)

同社の働き方改革特別サイト。実践から得られたノウハウや投資対効果、コラムなどをまとめて公開している。

きっかけは課題の総合解決

働き方改革を始めるきっかけは何だったのでしょうか。

2009年頃、当時はまだ働く時間や場所は固定的でした。
そのような環境下で、従業員は増える一方、個人間の連携が希薄であり個人でこなす仕事の仕方が多く、このため業務負荷が集中し残業が増えるという状況が続いていました。
また、固定席のオフィスであったため、増員によるレイアウト変更の繰り返しで、適切なワークプレイスを提供できなくなってきていました。
これらいくつかの「課題」を個別解決するのではなく、一気に変革することで総合解決を図ろうとしたことが取組みの起点になっていたと思います。(内田)

具体的にはどんなところから着手したのでしょうか。

まずは、現状把握を行いました。
社員に対する意識調査や部門ヒアリングを行い、また、オフィス利用調査や面積診断などの実態調査により状況把握をしました。
一方で変革のデザインをおこなうためのワークショップを実施しました。ここでは選抜された社員が数回の協議をもとに、今後こうありたいという働き方のアイディアを出し合い、そのなかで今後の方取組みの方向性を固めていきました。
その当時取り組むべき要素として、仕事の仕組み、情報の共有、文化の醸成、人事制度、ICTツール、ワークプレイスが挙げられ、施策として具体化が早いと考えた後半の3要素についてそれぞれ施策を講じました。(内田)

当時のオフィス環境はどんな様子だったのですか。

当時は社員がどんどん増えていました。ただ、社員が増え続けるからといって毎年増床するわけにもいかず、共有スペースをレイアウト変更するなどして固定席に変えていきました。最終的には共有スペースの割合が全体オフィス面積の約1割にまでなりました。当時実施した調査では、共有スペースの少なさに不満をもつ社員が多い、という結果が如実に表れていました。
また、固定席でのソロワークが基本だったので自分の業務担当外には積極的に関心を示さない傾向があり、「個人商店化」を助長していたかもしれません。(内田)

レイアウト変更で対応するのは限界だったわけですね。

前述のワークショップで描かれた要件は、いつでも・どこでもレスポンスを挙げるための環境整備であり、オフィスの中であっても目的に応じてソロでもグループでも働けることでした。この“働き方の未来予想”をもとにどんなツールや空間が必要かを具体的に検討していきました。(内田)

実際にどんなスペースが新たにできましたか。

要件整理が終わった後の2011年当時は、例えば、トライアルで集中席やディスカッションルームを作って実験してみました。また、ON/OFFのメリハリを付けるためにカフェスペースを作る検討もしましたが当時は面積が足りず、実現には致しませんでした。 (内田)

集中席の様子。業務の特性に応じて、最適なワークスペースを選ぶことができる。

お話を聞いていると、論理的に計画立てて進んでいった感じがしますね。

振り返ってお話しすると理路整然と聞こえるかもしれませんが、実際のところは計画通り進んだわけではありません。進め方に正解がないからこそ、色々なことを試行錯誤してきて現在に至っています。(内田)

フリーアドレスに移行できた理由

フリーアドレスもトライアルを経て正式導入になったのですか。

早い段階から施策のひとつにフリーアドレス化がありましたが、最初は反対意見も多かったですね(苦笑)。
スペース効率という意味でのメリットは確かにあります。いろいろな共有スペースを作るために執務面積を減らしたいというのは一定の理解を得られました。コミュニケーションという意味では、オープンな環境となり話しやすくなった、会話する機会が増えたという意見はありますが、定量的なコミュニケーション量と業務影響は測れません。それでも、当時、総務からトライアルを始めることで具体的な問題点を認識しそれを解決するという流れを繰り返すなかで「変革の扉」を少しずつ開き、次に営業部門、そして最終的には本社オフィス移転に時に技術部門を含め実施するというステップに進めることができました。(内田)

反対が大多数だったのが、最終的にはみんなが納得してくれたのはなぜでしょう。

先程も申し上げたように実施のメリットを理解いただけたということかと考えています。
シェアリングによりスペースのゾーニング効率を高め、コスト抑制にもつながっているということ。
かつて実施できなかったカフェスペースもこれによって実現ができました。
このほか、ディスカッションルームや集中専用ブース、ライブラリー、マッサージルームなどの共有スペースを面積を増やすことなく配置できました。(内田)

会社にも自分達にもメリットがあると実感したから納得してくれたのですね。フリーアドレスは、どのような運用の仕方をしていますか。

部門ごとに大まかな配置を決めて、その中で自由に座席を移動できるグループアドレス制にしています。
丸の内本社は社員数に対して約7割の席数設定、天王洲の拠点は約8割の設定ですが、共有スペースの席も含めてカウントすれば、社員数分は用意されています。(内田)

オープンなコミュニケーションスポットが増えたことでちょっとした打ち合わせがすぐできるようになり、慢性的な会議室不足も解消された。

今は丸の内本社がフロントオフィス、天王洲にはバックオフィス、というふうに機能を分けて拠点を配置していますね。普通は面積効率を上げるために統合するのが一般的ですが、敢えて拠点を分散させたのはなぜでしょう。

オフィスはその企業で働く人のものだけではなく、お客様へのショーケース的な要素も取り入れたい、更にいえばステークホルダー、つまりあらゆる関係者にとっての価値、という事を意識していました。そういう意味でも、ブランド力のある丸の内が本社候補に挙がったのです。
一方で、丸の内に集約せず、天王洲に拠点を残した理由の一つには、オフィスを分散しリスクを減らすBCPの観点もありました。
オフィスをブランディングとBCPの考えで分散配置したということになります。(内田)

では、今後も敢えて統合しない戦略は続けるのですね。

将来については今後の構想によりますが、フロントオフィスとバックオフィスという考え方は今後も踏襲するのではないかと思います。配置のありかたは、それぞれのオフィスに持たせる「価値」次第になっていくのでしょうね。(内田)

かなり色々な動きをしていますが、実際のところ目的に対する達成感や満足度はどうですか。

変革を実施した2013年が始まってから三年間、社員に毎年アンケートを取った結果、肯定的な意見だけではありませんが改善が見られた項目はかなり多いです。
改革を始めた2009年当初は、残業や過重労働比率がかなり高かったのですが、フレックスやテレワークを組み合わせることで労働時間は減少傾向にあります。また、ワークライフバランス実現度も半数以上の人が満足していて、年々数値も上がっています。(青木)

制度改善で、更にテレワークしやすい環境に

毎年、総務省主催のテレワーク・デイへの参加を社内に推奨しているそうですね。

はい。毎年参加を続けていて、全社員約2,300人のうち2017年は700人、2018年には1000人が参加しました。また、社内独自の取り組みとして、テレワーク・デイを含む一週間を“テレワーク推進週間”と銘打って推奨する活動もしています。テレワークをするのはやはり営業職が一番多く、全社平均では2日/月くらいの頻度でしています。(青木)

かなり浸透している様子ですが、導入の苦労などありませんでしたか?

2009年からトライアルを始めて2011年に正式に制度化しましたが、浸透するまでは大変でした。例えば、
・書類仕事が多いから
・ICTツールの使い方が分からないから
・上司の目が気になるから 
などネガティブな理由を挙げて嫌がる社員も正直多かったです。
でも今は、
・クリエイティブな仕事は対面重視でやりたいから
・チームワークを維持したいから 
などテレワークをやらないとしても、ポジティブな理由で使わない選択をする社員が増えましたね。(青木)

使い分けができるようになってきたんですね。

変革実施後5年くらい経ちますが、制度の見直しもしていて、テレワークでいえば、今までは半日単位もしくは一日単位の“みなし勤務”だったのが、今年度からは1時間単位でできるようになりました。更にコアタイムなしのフルフレックスになったので、より柔軟度が高まったと思います。(青木)

弊社のZXY(旧ちょくちょく…)もお試しいただき有難うございました。

在宅勤務以外でテレワークしたことがない社員向けに、ZXY(旧ちょくちょく…)をお試しで借りた時期もありました。残念ながら利用シーンが合致せず、継続には至りませんでした。
当社がめざすワークスタイル変革の前提は自立した働き方です。選択肢のある多様な働き方の実現です。これには仕事の仕方を変える視点が重要となります。この変革モデルに合致するワーカーを対象にこの先の取組みを進めていきたいと考えています。(内田)

長年のテレワーク推進活動が高く評価され、2017年には「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」を受賞した。

これからのオフィスの存在意義とは

個々の働き方の柔軟性が増す一方で、部署間どうしの連携も必要ですよね。

組織間連携は、継続した課題ですが、かつて情報共有を取組み課題の一つとして挙げてきたなかで、個人間・組織間の連携は更に高めていかなくてはいけないと思います。
変革の取組み以降、かつては、ビジョン浸透や、業務改善、ダイバーシティ推進などの委員会が設けられ、
最近では具体的なテーマをもとにした社内ワークショップの開催も増えています
社員が集まる場所すらなかったのが、オフィス移転をきっかけにしてこういう動きが生まれているのは、嬉しいですね。
このほかクラウドサービスの利用による連携も進んできています。
これらリアルな場とバーチャルな繋がりをうまく活用していくことが今後の方向性ではないかと考えています。(内田)

共有スペースの様子。ランチや休息だけでなく、社内イベントや交流会の会場としても使われている。

では、最後の質問になりますが、御社にとって一番効果的なオフィス施策は何でしたか。

難しい質問ですね。ファシリティマネジメントに携わっている私も日々自問自答しています。
結局オフィスがビジネスにどれだけ貢献できているのか?単一の施策だけでシンプルに効果が出るものではないはずです。他の施策との複合的な取組みがバランスよく実施され効果につながっていれば良いと考えています。オフィス施策において、一般的なワークスペースに求められる快適性や効率性については引き続き改善を進めつつ、新しい価値を生み出すための場としてオフィスの存在は強くなる側面があるでしょう。
「どこでも働けるようになった社員が敢えてオフィスに来る意味」を念頭に、今後の新しいオフィスのあり方が生まれてくるのではないでしょうか。(内田)

今回協力して下さった企業様

ネットワンシステムズ株式会社

設立
1988年(昭和63年)2月1日
本社所在地
東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー
事業内容
・世界の最先端技術を取り入れた情報インフラ構築とそれらに関連したサービスの提供
・戦略的なICT利活用を実現するノウハウの提供
従業員数
2,295人
Webサイト
https://www.netone.co.jp/
COLUMN