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株式会社ルネサンスの働き方改革事例(前編)

会社も社員も共にスパイラルアップする「成果の出し方改革」

投稿日:2019-08-22  取材日:2019-06-03

株式会社ルネサンスが取り組んだ事

  • 「成果」にフォーカスした働き方改革を実践
  • ツールにzoomを導入し、遠隔コミュニケーションを円滑化
  • 人事評価の項目に「働き方」を追加し、会社の本気度を示す
  • 会社規模

    1,400人

  • 業種

    生活関連サービス業

  • 対象職種

    企画・管理

    販売・サービス職

フィットネス業界大手の株式会社ルネサンスは、全国100ヶ所以上にスポーツクラブを展開し、自治体や企業等にも健康づくりの支援事業を多数提供しています。企業理念は、「生きがい創造企業」。社員の健康や生きがいにもきめ細やかに配慮しながら、同時に、業績・生産性の向上にも力を傾けています。

今回は、そのような同社が取り組む働き方改革について、人事戦略部部長の日野俊介様と人事戦略部人事労政チーム兼D&I推進チーム課長代理の前池愛様にお話を伺いました。

「成果」にフォーカスする改革、その取り組みの経緯

今回お話を伺った人事戦略部部長 日野俊介様、人事戦略部人事労政チーム兼D&I推進チーム課長代理 前池愛様。

「成果」にフォーカスする改革、その取り組みの経緯

早速ですが、御社の働き方改革について、その取り組みの経緯を教えていただけますか?

働き方改革については、もともと意識はしていたのですが、自覚的にアクセルを踏み始めたのは2015年くらいでしょうか。
当社では「働き方改革」ではなく、「成果の出し方改革」という表現を使っています。

成果の出し方、ですか。

はい。改革の取り組みを、「効率化」だけに止まらず、直接的な「成果」につなげていこう、という想いを込めて、その名前を採用しています。

「成果の出し方改革」を起点として、「業績」を上げ、その分を働く人の健康や働く環境といった「処遇」に還元し、それを再び改革への原動力に変えていく。
そのようなイメージで、組織としてのスパイラルアップを実現できれば
と考えています。

なるほど。素晴らしい善循環のイメージですね。ところで、その「成果の出し方改革」は、トップダウンで進められていったんですか?

改革の戦略が固まるまでに、いくつか文脈がありまして…。
例えば、「生産性の向上」というテーマは、トップダウンで進められたものです
我々はサービス業なので、比較的、人が多く動きます。それはつまり、社員一人ひとりの「働き方」の質が、業績を大きく左右し得るということ。
そのような大事なテーマである「生産性の向上」というテーマに関しては、トップダウンの強力な推進力で進めていこう
、ということですね。

なるほど。

そして、それ以外の論点については、ボトムアップで丁寧に戦略を詰めていきました。
そうして、トップダウン・ボトムアップの双方向から、「成果の出し方改革」の全体像を順次定義していった
、という流れです。

部門の自律性に委ねながら、集約すべきは集約する

具体的に、どのように改革を進めていかれたんですか? プロジェクトや専任チームを立ち上げたとか、部門ごとに役割を割り振ったとか。

上から担当を割り振る、というようなことはあまり行いませんでした。
それよりも、部門ごとに自らで考えて、最適だと思うやり方で取り組んでもらおう」というのを優位な考え方としてきました
当社の場合、部門ごとで働く環境が大きく異なってきますので。

どのような部門があるんですか?

大きく分けて…、
・フィットネスクラブの店舗を運営する「スポーツクラブ事業部門
・自治体や企業等での健康づくりなどを推進する「法人・自治体向け事業部門
・リハビリ特化型の通所介護、訪問介護を行っている「介護リハビリ事業部門
・総務、人事、経理など「本社・オフィス部門
この4つになりますね。

なるほど、働き方が異なる4つの部門ごとに、それぞれ適したやり方で改革にアプローチしているということですね。

事業のコア、スポーツクラブは全国各地に多数展開されている。

はい、そうですね。以前は「クラブ(店舗)が主」という企業文化だったので、どちらかと言えば、「クラブの働き方に本部が合わせていく」というケースが多かったように思います。
例えば、本部の就業時間も、クラブの営業時間に合わせた時間帯に設定する、など。
あと、オフィスの働き方にあまりフォーカスしすぎてしまうと、オフィスの社員とクラブスタッフとの間で距離感が広がってしまうのではないか、と危惧したり。
そんな風に色々と配慮していたのですが、今では随分と時代が変わってきましたね。

4つの部門がそれぞれに最適な方法を選択するということでしたが、それだと、改革の推進力が分散してしまったりは…?

はい。そうならないように、2015年、社内で「業務センター室」という、部門横断的な部署を立ち上げました
各部署・各クラブで分散して行っていた業務を「業務センター室」に集中させて、全体の効率性を向上させようという取り組みです。
どの部署が、どの仕事を、どう担っていくのが最適か」という問題に、初めて真剣にフォーカスし始めたのが、その時でした。

在宅勤務制度ができるまで

そして、「業務センター室」が開設されたちょうどその頃、在宅勤務制度のパイロットもスタートさせました。

先ほど、「クラブ(店舗)の働き方に本部が合わせていく」というお話がありましたが、在宅勤務という働き方を実現するのは、お客様対応を行うクラブのスタッフにはとても難しそうに思えますね…。

はい、難しいことですね。ですので、初めは、人事とIT部門のみのトライアルとしました。

なるほど。

在宅勤務の活用に関しては、どうしても本部がメインにならざるを得ない部分もあったのですが、「クラブ側でも使い方を考えてほしい」というメッセージは送り続けていきました。
今も試行錯誤を続けている段階です。

クラブ以外では、在宅勤務は順調に浸透していきましたか?

パイロットで実施した2015年度の時点で、セキュリティ等を含めたある程度のルールを定めて、16年度から本格導入しました。
対象は、本部やIT部門に限らず、全部署に拡大。在宅勤務の上限は、週1日としていました。
その結果、活用できている部署に関しては、ある程度、生産性を上げることに成功している、というフィードバックを得ることができたので、17年度に週4日まで在宅の上限を広げました

すごいスピード感で進めていかれたんですね!

この頃は、とにかく挑戦してみようという感じで(笑)。
それに、実際、「週1回では使いづらい」という声をもらっていたんですよね。
それで、週1日は職場で顔を合わせる機会を確保しようということで、上限を週4日とした次第です。

在宅勤務するにあたって、日数以外で、活用のルールや制限のようなものは設けておられるんですか?

「上司の許可」は必要です。加えて、「前日までの申請」、「当日の報告」も求めています。
でも、ルール遵守を求めすぎて、活用のボリュームが絞られてしまうのももったいない。
むしろ性善説に立って活用を促していくことに軸足を置いた方が良いだろう、ということで、あえて人事でチェックするようなことはしていません

うまく活用できているかどうかは、基本、部門ごとに判断してもらっています。

在宅勤務するにあたって、モバイルツールなどインフラ面の整備が必要になってくると思うのですが、そのあたりについては…?

在宅勤務のトライアルを始めた2015年以前でも、会社の携帯は管理職には全員に付与されていましたし、一般職層であっても職務上必要であれば支給されていました。
現在も引き続き、通信環境の整備には力を入れています。

自宅のPCでも、オフィスと同じように仕事はできるんですか?

はい。仮想でネットワークに入れる仕組みは構築されているので、家に回線とパソコンさえあれば、誰でも在宅勤務できる環境は整っています

それは、すごいですね。在宅のトライアルを始める前とでは、働く環境がガラっと変わったんじゃないですか?

そうですね。トライアルの前は、直行直帰も部署によっては認められない風潮でした。
「クラブ(店舗)で働く」というのをベースにして成長してきた会社ではあったので、「出社していないメンバーをどうマネジメントするか」という点には、どうしても不慣れな部分があったんだと思います。
でも、「在宅勤務」というキーワードが出てからは、「ぐっと自由度を上げて、生産性を追求していこう」と、会社として覚悟を決めたということですね。

なるほど。それでは、在宅勤務をする「理由・事情」についても、特に制限は設けておられないんですか?

そうですね。特に「理由・事情」を問うことはしていないですね
上司によって、「許可する・しない」の温度差はあるかもしれませんが。
でも、育児や介護などの「理由・事情」で出社できない社員も実際に増えてきていたので、そういった社員に少しでも働きやすい環境を、ということで、自由度の高い在宅勤務制度を整えた、という面は確かにあります。

在宅勤務からテレワークへ、働き方の選択肢を増やす

このように、在宅勤務を活用する人たちには、「止むを得ない事情があって、在宅勤務を選択する人たち」がいる一方で、
もうひとつには、「生産性向上のために、積極的に在宅勤務を選択する人たち」もいます。
後者は、例えば、集中してアウトプットを求められる企画部門や管理部門などのスタッフたち。
極端に言えば、“出社すると生産性が落ちる傾向にある人たち”です。会議を入れられたり、新しい仕事を挿入されたりせずに、一人で集中したい人たちですね。
そういった人たちには、出社せずに自宅で集中するように勧めています。

なるほど。でも、なかには「自宅では集中できない」という人もいらっしゃいますよね。そのあたりのところは…?

そうそう、そうなんですよね。それは人に拠ることだとは思いますが、とにかくも、「働き方の選択肢が広がった」
ということが大事なんじゃないかと思っています。
個人で責任を持って、ちゃんと成果を出すことが前提ですが、「出社」、「在宅」と自由に選択できるということ。そこに意味があるんじゃないかな、と。

自宅以外で働くことは?

2017年に在宅勤務を週4日までOKとしたタイミングで、「在宅勤務制度」を、「テレワーク制度」と改めました。
ですので、今は、自宅やオフィス以外の場所、例えば、カフェやコワーキングスペースなどでも柔軟に働けるようになっています

より活用しやすくなっているんですね。ところで、実際の効果のほどは?

テレワークを導入して2年になりますし、上手くいっているのか、それとも、何か不具合が生じているのか。
もし部門間での公平性が損なわれ「働きやすさ」の格差がより広がっていたとしたら、それを是正すべきか否か、などなど、これから検証していかなければならないと考えています。

働く時間について、一律固定からフレキシブルへの歩み

今まで、「働く場所」についてお話を伺ってきましたが、次は「働く時間」について伺います。御社ではフレックス制度は導入されているんですか?

フレックスは導入していません。
働く時間についても、「クラブ(店舗)」か「それ以外」かによって大きく分かれてきます。
クラブはシフト制です。本社では、出勤時間を選択できる変形労働時間制を導入しています。
元々は9:30〜18:30と就業時間を固定していたのですが、8:30〜9:30の間、15分刻みで出社時間を選んで良いですよ、としたんです。

この制度、活用されている方は多いですか?

はい、多いですね。この制度のポイントは、出社・退社の時間が各々バラバラであることを前提に、実質、「コアタイムが少しだけ短くなっている」ということです。
働く時間を一律固定からフレキシブルへと一歩前進したというところで、これもまだまだ通過点。
今後、例えば、「フレックス制度の導入へと舵を切っていくのか」など、次のアクションを考えていかなければならないと思っています。

ツールにZoomを導入して、遠隔地とのやりとりを円滑化

働く場所・時間がフレキシブルになっていく中、リモート会議などの仕組みづくりについては?

はい、着手しています。
今では、自宅から会議に参加するというケースも珍しくなくなってきています。
ツールについても、今までは様々なものが使われていたのですが、今年(2019年)からはzoomを導入し、それをメインに活用し始めました

ツールが共通していると、混乱もなく、安心感がありますよね。

はい。以前は全国から本社に参加者を集めて集合研修を行っていたのですが、zoomで受講できるようにしました。
地方のクラブなどでは特に、移動時間の捻出やシフト調整などに一苦労していたんです。

zoomというツールを上手に活用して、遠隔地とのやりとりという課題を解消しようとしているんですね.

そうですね。海外事業を始めたというのも、良い意味での強制力になったように思います。

人事評価に「働き方」を追加

場所、時間と、働き方の自由度が増えていくと、どうしても社員のマインドの変化が求められてくると思うのですが。

働き方に対する「意識」を変えるということに関して言えば、2017年に、全従業員を対象とした人事制度の評価項目の中に、「働き方」を追加しました

「働き方」を評価するんですか?

はい。「働き方を改善できているか」というチェック項目を設けたんです。
会社の本気度も伝わりますし、個人の意識を変えるという点では大きなことだったと思っています。

この事例と同じシリーズの事例

今回協力して下さった企業様

株式会社ルネサンス

設立
1982年
本社所在地
東京都墨田区両国
事業内容
フィットネスクラブ、スイミングスクール、テニススクール、ゴルフスクール等のスポーツクラブ事業、自治体や企業等での健康づくり事業、介護リハビリ事業、他関連事業
従業員数
1,408名(2019年3月31日現在)
Webサイト
https://www.s-renaissance.co.jp/

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