CLOSE

アフラック生命保険株式会社の働き方改革事例(後編)

自由で働きやすい会社は、「みんな」で創る

投稿日:2019-11-20  取材日:2019-09-04

アフラック生命保険株式会社が取り組んだ事

  • 自社サテライトオフィスとフレックス制度で自由な働き方を実現
  • 誰かのためだけの制度ではなく、みんなのための制度を
  • 目標をを数値化して、力強くコミットメント
  • 会社規模

    5,000人

  • 業種

    保険業

  • 対象職種

    全社員

    企画・管理

    営業職

    事務・アシスタント

前編に引き続き、アフラック生命保険の働き方改革事例をご紹介。

今回は、経営トップから一般社員に至るまで、「みんな」で会社を自由で働きやすい空間にしていこうという、アフラックの具体的な取り組みについて、詳しくレポートしています。

テレワークの浸透

先ほど、テレワークの話があったのですが、全社ではどれくらいの方がテレワークをしているんですか?

2017年から、全社員が必ず年1回はテレワークを実施することを目標に掲げています。なので、理由も介護や育児などに限らず、またどの部署においても、全社員がテレワークできる環境を整備しています。

環境整備は、具体的にはどのような?

はい。具体的には、

・全部署へのシンクライアント端末の配布
・育児・介護中の社員へ社内システムにアクセスできるシンクライアント端末やUSB端末の配布
・社内システムへアクセス可能なスマートフォン、タブレット端末の配布
・Web会議システムの導入


といったようなことを行いました。今年から、自宅でも社内環境に接続できるようになっています。

保険会社ですと、特に個人情報など情報の取り扱いには気を使われると思うのですが。

はい、その通りですね。情報に関するセキュリティは全社的に強化することで、今では、保険金の支払い業務なども、自宅でできるまでになっています。

そうなんですか! かなり特殊なセキュリティを用意しているのでしょうか?

セキュリティはクラスをいくつか分けていて、外に出せないようなお客様の情報に関しては、在宅では扱えないようにセキュリティクラスを設定する、というふうに工夫をしています。
これができるようになったのは2017年のことですが、それ以前にも、営業など、在宅に対してハードルが高そうな部署をいくつかピックアップして、実際に在宅で業務が回せるかどうかを検証してきました。
そして、オペレーションや個人情報管理などの課題点を抽出し、解決策を検討して、その後、全社での展開、という流れで、全社員のテレワークが実現しました。

テレワークの場所は自宅のみですか?

いえ、自宅だけでなく、サテライトオフィスを全国9カ所に用意しています。それ以外の場所、例えばカフェなどでも、営業はiPadを貸与されていますので、移動時間の合間に仕事をすることは可能です。

9カ所というと?

新宿、丸の内、調布、町田、八王子、さいたま、横浜、千葉、大阪です。当社の事業所内の区画を区切ってサテライトオフィスとしています。
設置エリアを決める際は、社員が利用しやすいように、社員がどこに多く住んでいるかも判断基準にしていました。

サテライトオフィスを活用するのは、やはり営業職の方が多いですか?

いえ、職種や役職に限らず、本当に多くの社員が利用しています。

新宿のサテライトオフィスの様子。落ち着いた雰囲気で、集中できる環境が整っている。

「テレワーク×フレックス」で働き方の自由度を上げる

テレワークが浸透してきて、社員の働き方の自由度は上がってきていますか?

テレワークを推進してみて改めて実感したのは、「テレワークはフレックスタイムとセットで利用すると、より働きやすい」ということです。
例えば、テレワークをする際に、定時の枠に縛られてしまっては、なんとも不便です。お子さんの送り迎えなど、ご家族の用事がある場合、ある時間帯だけ仕事を離れて、用事を済ませたら仕事に戻れれば良いのですが、フレックスタイムを導入していないと、子どもの送り迎えのために休みをとらなきゃいけません。

なので、フレックスとテレワーク(サテライトオフィス勤務や在宅勤務)を組み合わせて、よりフレキシブルな働き方ができるようにしています。

フレックスには、コアタイムは設けているんですか?

コアタイムの有無は部署によって、自由に選択してもらっています。シフト制度かフレックスタイム制度かも個々人で選ぶことができます。もともとはシフト制度の一択でしたが、2018年にフレックスタイム制度を導入して以来、フレックスを選択する人が増えてきていますね。
何時から何時まで働きます、という日々の報告も求めてはいません。出退勤についての管理方法も各部署に委ねています。

全社員に適用できる制度を

なるべく、ルールで縛らずに活用を促しているんですね。

そうですね。対象者についてもそうしています。対象を介護や子育て中の人だけに限定してしまうと、その人たちだけしか使えないという状況が、逆に、その人たちに使いづらさを感じさせてしまいますから
必要な人が、適切な制度を、気兼ねなく活用できる。そのためには、誰かのためだけの制度ではなく、みんなのための制度を作っていくことが大事だと思っています。

これまでのお話を伺ってきて、よい制度や仕組みがあれば、それを全社員が享受できるように推進していくのだという思想が、御社には強く流れているのかなという印象を受けたのですが。

そうですね、「みんなで」というのは社風かもしれませんね。アフラックでは、「If we take care of our people,the people will take care of our business.(人財を大切にすれば、人財が効果的に業務を成し遂げる)」という言葉を大切にしています。
会社の成長を実現するのは人であり、だからこそ会社にとって最も重要な財産は人である。これは、創業以来、受け継がれている精神ですね。

自由な働き方とマネジメント

ところで、自由な働き方が進むと、各人の出社時間と退社時間がバラバラになってくると思うのですが、その際のマネジメントについては問題になりませんでしたか?

勤怠の管理ということで言うと、PCのログオンとログオフ時間、カードでの入退室記録を管理しています。各会議の開催に関しても、コアタイムがなくても10〜16時くらいの間で行うようにしています。
また各自Outlookに勤務スケジュールを反映させ、他のメンバーもスケジュールを確認できるので、あまり問題は起こりません。

在宅勤務をしている社員は電話会議も利用できます。会社にかかってくる電話を、自分のスマートフォンへ転送設定することができるので、安心です。各人のスケジュールも見える化をして社内で共有されているので、チームメンバーの行動把握にもストレスはないと聞いています。

なるほど。万全ですね! ところで、普段のコミュニケーションはチャットツールなどを使っているんですか?

はい。社内ではスカイプを、外部の代理店などではWebEx(※)というシステムを使用しています。地方支社だと取引先の代理店まで拠点間が離れている場合もあるので、移動時間の削減のために、WebExはなくてはならないツールだと思っています。
代理店内で行う会議でも、以前は代理店の本店に各拠点の人たちが集まらなければならなかったのを、WebExを使うことでウェブ上の会議で実施している事例もあります。

WebEx(ウェブエックス)とは:「Cisco Webex(シスコ ウェブエックス)」は、複数人での高品質なコミュニケーションを可能にするWeb会議システム。ワンクリックスタートやクリアな映像共有機能など、ユーザビリティの高さで人気を博している。

たしかに、移動しないで済むというのは大きなメリットですね。ちなみに、年次が高い方も、問題なく新しいITツールを活用できていますか?

そこは、まだ課題かなと思っています。使っている人と、そうでない人が、明確に分かれますね。ITツールに苦手意識を持っている人に対しては、社内ポータルなどを使って定期的に啓発・情報発信をするようにしています。

ウェアラブル端末と健康経営

少し話は変わりますが、御社の社員の方の多くが、ウェアラブル端末を腕につけてらっしゃいますよね? これはどういった目的で?

このウェアラブル端末を活用して、年に2回ほどウォーキングキャンペーンを行っています。

当社では、すべての社員が心身ともに健康に生活し仕事に取り組めるよう、2016年から「健康経営」に取り組んでいます。その取り組みの一環として、「ウォーキングキャンペーン」という企画を実施しています。部署対抗で、役員も本気になって参加していて、「今日は、電車を使わず歩きます」なんて張り切っていたり(笑)。1か月近く測定して、個人ランキングや部門別ランキングも出すんですよ。そんな風に、楽しみながらやっていますね。目標は、1日8500歩。その目標がクリアできたら、クリアした分のポイントを社員に付与したり、難病と闘う子どもたちの支援病院に絵本やおもちゃなどを寄贈したりしています

絵本やおもちゃを…、素敵な取り組みですね!

他にも、禁煙プログラムやがん・傷病就労支援などにも力を入れ始めているところです。ちなみに、このウェアラブル端末は、会社から希望者に無償で支給されたので、かなり多くの社員が、当たり前のように身につけていますね。

アフラック生命が掲げる、多様な働き方に向けた取り組みのKPI。

効果測定:KPI設定について

御社の取り組みについて詳しく伺ってきて、数値的なKPIを細かく設定しておられるのが、とても印象に残りました。「残業時間削減」や「有給取得率」は多くの企業もKPIに設定していますが、「配偶者出産特別休暇取得率」や「男性の育休取得率」を同列で扱っておられるのが御社ならではかなと感じます。この2点のKPI設定の経緯を教えてください。

当社では、かつて男性が育児に積極的に参画する風土があまり育まれていませんでした。女性は産育休を取って職場に復帰するケースがほとんどだったのですが、男性はそうではありませんでした。
そこで、男性も育休を取る風土を整えるべく、まずは男性の育児休暇や配偶者出産休暇の数字にフォーカスを当てた、ということです。

数字目標を掲げてみて、効果のほどは?

配偶者出産特別休暇取得率100%(日数平均4日以上)」「男性の育休取得率100%(日数平均5日以上)」という目標は、すでに達成しています。初めのうちは管理職の理解を得るのが大変でしたが、数値目標が推進力となりました。

私は子どもが3人いるのですが、1人目は9年前に生まれました。その当時、制度自体はあったものの、数値目標はなく、なんとなく休暇を取りづらいなと思いながらも、私も妻も両親が遠方にいるため、遠慮しながら取得しました。
2人目の頃もまだ数値目標はついていませんでしたが、職場では「特別休暇取るよね」といった雰囲気がすでにできていて、上司も「取ったら?」と勧めてくれました。
3人目は今、2歳。2年前には数値目標が掲げられていたので、むしろ、上司から「いつ取るの?」と(笑)。

えっすごい変化ですね。

すごく良い変化です。部下から「休暇、取っていいですか?」と聞くのと、上司から「いつ取るの?」と聞かれるのとでは、とても大きな違いがあると思うんですよね。なので、ちゃんと数値目標を掲げた上で、“取得するのが当たり前”という雰囲気を作っておくのが大事かなと思います。

効果測定:数字に表れない定性的な効果の測定について

数字に表れない効果の測定については、何か実施していることはありますか?

毎年、全社の意識調査を行っています。その結果、「性別・年齢関わらず多様な人材が活躍できる」という質問に対して、「はい」が84%。「ライフイベントがあっても長く働き続けられる環境だと思う」という質問に対しては87%が「はい」と回答するなど、みなさん、かなり働きやすい環境だと感じてくれているようです。

そういった定性的な満足度が数字にも表れており、この5年くらいの間で、離職率もかなり低下してきていて、特に若い女性の間でそれが顕著です
2014年の20代女性の離職率は14%だったのが、2018年では3%にまで減っていますね。

素晴らしいですね! ちなみに、御社がこのように上手くいっている大きな要因は、何なのでしょうか?

経営トップの強力なコミットメントというのが一番かなと思っています。トップが決定したことは、達成すべきKPI。それが叶えられなかった場合は、管理職の目標も未達になるわけです。部下に休みを取らせないと組織も未達、自分も未達になるので、絶対にやらなければならない、と。

会社として「やる」と決めたことを数値化して、上から力強くコミットメントしていく。これが、取り組みの大きな原動力になっているのかなと思います。

なるほど。

その他の定性的な効果測定についてお話しますと、女性の昇格についての流れが変わってきた、という点が挙げられます。

女性の2グレード(課長代理)以上の比率が以前は17%程度だったのですが、現在は30%くらいにまで上がってきています。30%はマーケティングでいうと閾値、これを超えたら少数派ではなくなる、ということです。

こうなると、空気が変わってくる。今までは、女性が2グレードに上がろうとすると、周りから「あの人、チャレンジするんだ」みたいな珍しいものを見るような目で見られがちだったのですが、今では、みんな上のステップに進んでいくものだと、認識が変わっています。

女性が昇格することに対して、抵抗感が少なくなってきているんですね。

はい、そうですね。「先輩が昇格したし、次は私」といったような流れが、確実にできてきている。これもひとつの定性的な効果かなと思っています。

そもそも当社は、1974年に創業した時に、16名のうち9名が女性で、創業メンバーは女性の方が多かったんですね。1997年には、生命保険業界で最も早く女性役員を輩出しています。そして、1998年には、営業現場に女性支社長が2名誕生。ということで、元々は女性が活躍していた会社だったんです。

ところが、近年、他社が女性の活躍推進を進めていく一方、当社は停滞気味。その原因の一つが、3グレードでの滞留でした。3グレードから2グレードに上がるには色々とハードルがありました。その問題を解決するために、挑戦しやすい環境や空気感を再構築しながら、産育休から復職しやすい仕組みや制度を整えていった、ということです。

なるほど。

特殊な人だけが管理職になるというのではなく、ちゃんと適正な努力を重ねていければ、みんなチャレンジできる。そんな環境を実現するために、様々な取り組みを継続的に実施しています。

当社には現在、取締役が8人いるのですが、そのうちの2人が女性。現状に甘んじず、もっと幅広い人財プールを作っていこう、というのが、これからの動きかなと思っています。

この事例と同じシリーズの事例

今回協力して下さった企業様

アフラック生命保険株式会社

設立
2018年(アフラック生命保険株式会社)
創業
1974年(アメリカン ファミリー ライフ アシュアランス カンパニー オブ コロンバス・日本支店)
本社所在地
東京都新宿区西新宿
事業内容
生命保険業
従業員数
5,113人(2019年3月時点)
Webサイト
https://www.aflac.co.jp/

SEARCH

RECOMMEND

    • オフィス環境
    • サービス業
    • 2018-12-25

    ママスクエアの働き方改革事例

    子どものそばで働ける世の中を当たり前に。活かせ!156万人の「主婦力」

    「働きたくても働けない」そんな主婦が全国には156万人いるとも言われています。
    一方で、企業の人手不足は深刻さを増す…

    • オフィス環境
    • ICT投資・活用
    • ワーカーの啓発・教育
    • サービス業
    • 2019-03-15

    リクルートの働き方改革事例(前編)

    エビデンスベースでの課題の可視化が、最初の一歩

    • エビデンスをベースに課題を可視化
    • 定量的・科学的な検証から、次世代のオフィスを構想
    • ジョブ・アサインメントモデルの設定によるマネジャー教育
    • オフィス環境
    • 人事制度
    • ICT投資・活用
    • ワーカーの啓発・教育
    • 情報通信業
    • 2019-05-27

    パーソルプロセス&テクノロジーの働き方改革事例

    働き方改革の専門家集団が目指す、100%テレワークと生産性向上

    • 働き方の原則はテレワーク、採用にも好影響
    • 残業削減やフリーアドレスの固定席化防止に、ICT技術を活用
    • 副業を解禁、週休完全三日制を目指して実証実験を開始
    • 人事制度
    • ICT投資・活用
    • 経営層のコミットメント
    • 情報通信業
    • 2018-10-01

    サイボウズの働き方改革事例(前編)

    「働き方の多様化」へ、その歩みはトップの覚悟からはじまった

    • “差異のある個性”を重んじ「100人100通りの働き方」の実現へ

働き方改革の事例一覧に戻る